SSブログ
- | 次の10件

謎解き京極、狂骨の夢その2 [京極夏彦]

tuba_hebi.gif
この連作の趣旨、体裁は「謎解き京極、姑獲鳥の夏」で説明した。

あらすじ2

5

12月2日、警視庁である。木場が美馬坂近代医学研究所における事件で謹慎処分をうけ、捜査一課の最長老、長門の監視下で勤務してた。新聞記事で面白い事件を発見した。9月23日付、逗子湾で浮遊する黄金髑髏が目撃、25日付、海岸に漂着、通報があったが行方不明。11月半ば、同じ場所で髑髏目撃。さらに肉片と髪の毛が付着した髑髏が目撃。11月27日付の記事だった。12月1日付、生首が漂着。担当は美馬坂近代医学研究所の事件を担当した石井警部だった。長門は木場をさそって大森に出むいた。

9月20日、二子山で男女の集団自殺事件があった。その中の女の身元確認だった。元中学校教師高野をたずねた。写真をみせたが、きめかねた。しかし写真中の男が高野の教え子山田らしいと判明した。山田は真言宗の僧侶だった。21年2月に来訪した。その翌日、娘が失踪したとわかった。木場は長門にわかれて神田の榎木津探偵事務所にむかった。

先客に関口と敦子がいた。榎木津に宇多川の件を依頼していたが、いやがった。木場も話しをきいて、最後に長野の事件を調査することとなった。榎木津はいやがる関口を随行させることにした。

6

12月、逗子である。宇多川朱美が回想する。自分の中に二人の女がいる。頭が混乱する。雨戸をあけて庭をみた。切り通しに邪魔されて西陽がとどかない。まだ夫は帰らない。昨日は隣家の一柳夫人がきてくれた。三度目の殺害の時、教会からかえった後の四度目の時もきてくれた。昨日午後にでた夫はまだもどらない。今は夜の7時だ。玄関に人の気配がした。

7

12月、逗子である。降旗は朱美がかえってから不安神経症を発症した。4日後白丘にあい、その告白をきいた。子どものころの話しである。白丘は石川県の羽咋の出身だった。そこの豊財院にまつわる話しから骨が怖くなった。さらに夜、鍵取明神で神秘的な神人に出あった。骨をみせられ脅された。後に西行法師の反魂の術をしった。それは骨をあつめて人をつくる術だ。神人たちがやろうとしてたことだと思った。後日譚があった。昭和20年、鎌倉名越の切り通しで神人に出あった。首はどこだとうわ言をいって倒れた。白丘はこれで自分の正しさを確認したといった。白丘がよいつぶれたところに、葉山署から警官がやってきた。白丘に9月23日と24日の行動をききたいといった。

8

12月3日、逗子である。夕方5時、伊佐間が旅館にはいった。玄関ホールのソファに復員服の男がいた。部屋で女中の話しをきいた。今、金色髑髏の噂でもちきりだ。隣りの寺のことをきいた。お経の声はたえないが、15年間、葬式をだしたのをみたことがない。お寺にいった。聖寶院文殊寺という。境内から本堂にはいった。須弥壇の上に本尊があった。住職だった。怖くなって旅館ににげかえった。食事の時、復員服の男は一月以上宿泊してる。寺のこと、夏前、一度だけ葬式があったことをしった。寝た。午前3時に目がさめた。隣りの寺から明りがもれ読経の声がきこえた。4時出発した。寺の明りがきえてた。田越川ぞいに海岸にむかった。対岸に復員服の男がいた。警察の車が朱美の家の方にはしっていった。刑事と、女、朱美がおりてきた。戸板にのせられた死骸がはこばれてきた。宇多川崇であった。12月2日の晩の犯行という。

おことわり

京極作品を未読の皆さん、どうかここを不用意にのぞいて将来の読書の喜びを損なわないよう、よろしくお願いする。

文庫版 狂骨の夢 (講談社文庫)

文庫版 狂骨の夢 (講談社文庫)

  • 作者: 京極 夏彦
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2000/09/05
  • メディア: 文庫


(ここから、本文その2がはじまる)


nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:

謎解き京極、狂骨の夢 [京極夏彦]

tuba_hebi.gif
この連作の趣旨、体裁は「謎解き京極、姑獲鳥の夏」で説明した。

あらすじ

1

これは精神的ショックにより記憶喪失となった女の告白をまとめたもの。昭和27年、逗子である。最初の夫、佐田申義は召集に応召せず不審な死をとげた。自分は自殺をはかったところ現夫宇多川崇にたすけられ、ここに定住した。生地は房総の漁村、一松か信州の塩田平、奉公先は信州下之郷の鴨田酒造。恋敵に女がいた。

2

11月1日、早朝である。町田市の釣り堀屋、伊佐間が逗子にきた。海岸で墓参りのように手向けの水をまく女に出あった。持病のマラリアの発症で高熱でくるしむ伊佐間を女は自宅に案内した。切り通しをのぼり二股の道を左にとって家にたどりついた。気づくと仏間で寝ていた。欄間からもれた西陽が反射してた。遠慮する伊佐間をせいして夕食をたべさせてくれた。夫は外出、しばらくかえらないといった。身の上話である。

名前は朱美、生地は信州塩田平の独鈷山のふもと。13歳で奉公にだされ、17歳の時、火事で家族全員が死亡した。雇い主の世話で18歳で結婚、夫は申義といった。召集に応召せず、奉公先の別の女と失踪。その間に病身の義父が死亡。結婚7日めの夜、きびしい取り調べのあとに帰宅すると夫がいた。義父を死なせたとせめられた。事情をきいたがわからない。また失踪。葬式は親切な神主により、すませた。突然、神社の神体は何か。髑髏でないかときく。独鈷山の生家は頭家とよばれ、格式のある家であった。毎年、桐箱から髑髏をだして祀った。女人禁制だった。髑髏を神体とするかよくわからなかった。奉公先で主人にも、民江という娘にもきいた。義父の葬式の話しとなった。

神主にここに髑髏を祀ってないかときかれた、家全部をさがしたがわからなかった。夫はその後、首無し死体となってもどってきた。朱美は厳重な取り調べをうけた。雇い主が民江のことに気づかなかったとあやまり、後始末をしてくれた。町をでた。上田、碓氷峠、本庄とにげて利根川にぶつかった。路銀もつきたので身投げしようとした。そこで民江に出あった。生首がはいるほどの包みをもってた。朱美に気づかずにげようとした。民江とあらそい、利根川に転落した。民江を殺したと思った。伊佐間が朱美が海岸でやっていたことが理解できた。ところで朱美は民江にであった。髑髏はまだもってるかもしれないといった。

3

11月、逗子である。降旗は飯島基督教会で白丘牧師の手伝いをしてる。白丘は新教だが、正教の神秘主義にちかいと降旗は考えてる。白丘は博覧強記である。正教が普遍性をあたえられ、旧教に変遷する。ととのった儀式が形骸化する。それにあきたらず新教にうつる。多数の新教宗派に迷って、自分をきめかねてると降旗は考えてる。

教会にくる前、降旗は精神神経科の医師だった。小石川の歯科医の息子としてそだった。子どものころ、何度もピラミッド状に積むあげられた多数の髑髏をかこみ、多数の男女が交接行為をおこなう、という夢をみた。オンマカキャラヤソワカという呪文も耳にのこった。二人の友だちがこの話しをまともにきいてくれた。青年時代、精神分析のフロイトと出あった。フロイトにはおおくの分派があり互いに批判しあった。ずいぶん学んだ。降旗は学問的に行きづまった。また、自分を分析して醜い姿におののいた。医師を半年でやめ、一年間の放浪後ここにきた。白丘から信者の懺悔をきくという役割をあたえられた。宇多川朱美という女性が懺悔にやっきた。

最初に人をころしたという告白があった。身の上話である。幼くして奉公にだされ、原因不明の出火で家族全員をうしなった。夫は兵役を拒否し失踪した。自分は家をでて、入水自殺をはかったらしい。それを現在の夫にたすけれ、各地を転々として、三年前にここに落ちついた。そのせいで記憶喪失となったらしい。いまも自殺前後はまったくもどらない。不眠症となり夢と現実の記憶があいまいとなった。10月ころ新聞の切りぬきを発見した。それによると先夫は首無しで殺害され、最初は朱美が容疑者、つぎに夫の情婦が犯人と断定されたという。自分と同じ奉公先にいた別人の記憶がよみがえってきた。

別人は、生国、房総一松、両親と兄がいる。性格は卑屈、仕事も遅い。普段から鬱屈をかかえてる。さらに性的に淫らなところがある。自分は山育ち、仕事は要領よく、性格はあかるいという。降旗は理解がむづかしかった。ところが突然、大西、11月、12月にふく強い風がふいた夜、復員服姿で先夫がやってきたといった。

顔の識別がむづかしかったが、誰にもしらせてない佐田朱美という名前をよんだので先夫だという。さんざん非難されたが先夫は去った。現夫が仕事で外出した三日後の夜、またやってきた。さらにその一週間後、現夫が外出した昼間にやってきた。そこであたらしい記憶がよみがえってきた。血だらけの神主が首をもってた。その時、白丘が驚きの声をあげた。また、立派な法体の僧侶の姿も思いだした。髑髏をだいていた。その後すぐに、また先夫がやってきた。無我夢中で首をしめて殺害した。そして首を切断した。降旗は自分が治療するよりないと決意した。先夫はまたきたでしょうときくと、きた、また殺したといった。降旗は先夫がまたきたら殺しなさいと助言した。朱美は辞去した。その後、白丘と論争となった。そのはてに白丘は真の信仰をもてないまま牧師をつづけていると告白した。さらに自分も骨がこわいのだといった。

4

12月、国分寺である。小説家の関口は武蔵野連続バラバラ殺人事件の犯人であり、新進の小説家でもあった久保の葬式にでた。神式であった。喪主はその父、神官は京極堂だった。式が9時前におわり、通夜のようになった。稀譚社の編集員、小泉女史と同じく編集員で京極堂の妹でもある敦子がやってきた。怪奇小説家で関口には大先輩にあたる宇多川崇を紹介し、相談したいことがあると会食にさそった。

中野の軍鶏鍋屋で食事がおわった後、敦子が合流し、宇多川の話しがはじまった。宇多川は57歳、妻は27歳。妻は海鳴りを怖がる。そのうち幻覚がみえるといいだした。宇多川の身の上話である。昭和19年、東京から埼玉県の本庄に引越した。日課の利根川散歩の時、不審な物音で人が流れているのを発見。助けて家で介抱した。まったく記憶をなくしてた。巾着袋から佐田朱美と名前が判明した。記された住所により下之郷にいった。夫は兵役忌避、首無し死体で発見。その後出奔。一月前のことだった。紹介されて鴨田酒造の鴨田周三にあった。その時、甥が出征した。憲兵がまだ朱美の行方をさがしてる。もどらないほうがよいといわれた。そこで事件を報道した新聞切り抜きをもらった。朱美をしる佐久間老人とあい、本庄に同行してもらった。南方朱美だと確認できた。ほとんどの記憶がもどってきた。

昭和21年東京にもどった。そこに元憲兵がやってきた。引越しを繰りかえし逗子に落ちついた。10月新聞切り抜きを妻が発見した。ついに先夫を自分が殺害し、容疑者も自分が殺害したと告白した。しかし宇多川は新聞記事からこれを否定。朱美は先日、先夫がもどってきたといった。これも否定。手形という物証があった。しかし朱美は先夫は繰りかえしやってきた。ついにはそれを殺害した。都合三回も首を切断したといった。家の庭中が血だらけだった。今日は隣りの奥さんにたのんで外出した。親切な隣人は一週間前にもたずねてくれた。二人は探偵の榎木津と、精神科の医師に依頼することを約束した。

おことわり

京極作品を未読の皆さん、どうかここを不用意にのぞいて将来の読書の喜びを損なわないよう、よろしくお願いする。
文庫版 狂骨の夢 (講談社文庫)

文庫版 狂骨の夢 (講談社文庫)

  • 作者: 京極 夏彦
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2000/09/05
  • メディア: 文庫


(ここから、本文がはじまる)


nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:

謎解き京極、魍魎の匣その3 [京極夏彦]

dotaku_yoko2.gif
あらすじ3

8

9月27日、中野の京極堂である。やってきた関口に、久保の小説をよんだ。読後感は悪いといった。関口の短編集は内容の時期別にならべるよう助言した。鳥口から取材内容をきいた。

最初の信者はヤマさんである。家族のことは不詳だが、25年暮れから若者が親しく出入りするようになった。若者は道場ができる直前に大量の箱を注文した。夏なのに手袋をしてた。京極堂が慌てて青木に連絡した。不審がる関口と榎木津にせめられて話しをはじめた。武蔵小金井の駅の加菜子の事故、美馬坂近代医学研究所のこと、誘拐予告状のこと、その後の加菜子誘拐事件のこと、木場の謹慎、誘拐後の頼子の心境変化のこと、警察内部の動きのこと、巷の不気味な噂のこと、里村のバラバラ事件犯人の切断意図のこと、福本巡査の女子学生調査のこと、木場と陽子の対話のことだった。そこにやってきた青木に頼子の保護を依頼した。

京極堂は、今回のことを加菜子関連の三つの事件と武蔵野連続バラバラ殺人事件にわけた。前の三つの真相はわかった。最後のは事件の拡大防止に努力すべきといった。

9

9月28日、木場の回想である。27日、池袋の騎兵隊映画社の川島新造から美波絹子と柴田弘弥のこときいた。美馬坂についてはフランケンシュタインをつくる研究を軍の援助のもとやってたといった。回想しつつ美馬坂への敵愾心をもやした。

同日早朝、京極堂、関口、榎木津が三鷹の御筥様をたずねた。京極堂が魍魎がここにあふれていると兵衛をおどした。おびえる兵衛の憑き物をおとした。さらに背後にいる人物が危険にひんしている。すくわねばならないと、さとした。その時、兵衛の妻サトと子どもの不幸な身の上があきらかとなった。

刑事の青木と木下が国分寺の久保宅にいった。久保は青木を倒して逃走した。

10,11

10月1日、木場が警視庁にいって大島捜査一課課長の許可を得て美馬坂近代医学研究所の捜査にあたることとなった。京極堂、関口、榎木津、鳥口は木場の暴走を心配しながら、研究所にむかった。加菜子関連の事件、武蔵野連続バラバラ殺人事件はからみあいながら研究所において大団円をむかえる。そこで、陽子と美馬坂、京極堂と美馬坂の関係があきらかとなる。久保の運命もあかされる。

おことわり

京極作品を未読の皆さん、どうかここを不用意にのぞいて将来の読書の喜びを損なわないよう、よろしくお願いする。

文庫版 魍魎の匣 (講談社文庫)

文庫版 魍魎の匣 (講談社文庫)

  • 作者: 京極 夏彦
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 1999/09/08
  • メディア: 文庫


(ここから、本文その3がはじまる)


nice!(1)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:

謎解き京極、魍魎の匣その2 [京極夏彦]

dotaku_yoko2.gif
この連作の趣旨、体裁は「謎解き京極、姑獲鳥の夏」で説明した。

あらすじ2

4

9月22日、中野の関口宅に鳥口がやってきた。御筥様の正体をさぐろうと潜入したがばれて、追いかえされた。助けをもとめる鳥口をつれて京極堂にいった。はじめて、であった鳥口をみて、京極堂がそれと指摘した。さらに故郷や子供時代のことを奇跡のようにあてた。驚く二人に種明かしをした。霊能者の手口であった。やがて壮大な宗教論がはじまる。鳥口は意外な理解力をしめし京極堂をよろこばせた。京極堂が明治時代、東大助教授福来友吉が御船千鶴子という千里眼の能力をもつ女性を発見したが、強い非難をあび、自身は学会を追放され、御船は自殺したという。やがて鳥口に何を取材しようとしてるかきく。御筥様だという。その話しである。

8月22日鳥口の社に情報の売りこみがあった。御筥様の信者名簿だった。喜捨額がすくない信者には不幸がくるよう工作してると示唆した。そから取材を考えていた時期にバラバラ事件がおきた。それは、8月29日から9月21日にわたった。各所に9件が発生した。鳥口は警察から被害者4人の身元情報を入手した。名簿と照合すると、該当者がいた。これで御筥様に取材を試みたが、見事に失敗した。事情をきいて京極堂が相手側のからくりを説明した。しばらく考えていた京極堂が鳥口にその教主の詳細を取材するよう依頼した。関口に監察医の里村に名簿の情報をながすようたのんだ。関口はそこに新進作家久保の名前があるのに気がついた。

5

9月24日、小金井の下宿で木場が謹慎してた。研究所での命令無視の結果だった。あらためて加菜子誘拐の詳細を回想した。混乱した中でそれぞれの行動を思いだした。須崎の死が美馬坂からつたえられた。雨宮が失踪した。陽子が混乱し助けを木場にもとめた。そこから木場は神奈川県警により拘束された。同僚刑事の青木がやってきた。

青木が神奈川県警の動きを説明した。加菜子と財界大物との関係に配慮し大袈裟な警戒態勢をしいたが、誘拐予告状は狂言とみてた。だから事件が発生して驚愕した。青木が武蔵野連続バラバラ殺人事件の概要を説明し助言をもとめた。四人の身元はわかった。そこに同一宗教の信がいるのがわかった。木場は監察医里村をたずねた。

加菜子がバラバラ事件の被害者の可能性があるかきいた。血液型から即座に否定した。里村が関口がこの事件のことでやってきた。被害者に穢れ封じ御筥様の信者の可能性があるという。木場に名簿をわたした。木場は中野の関口をたずねることとした。

6

9月24日、神田。榎木津の事務所に柴田財閥から増岡弁護士がやってきた。加菜子をさがしてくれといった。事情を説明した。柴田燿弘は柴田財閥の創設者である。燿弘の家族は死亡し加菜子が惟一の相続者である。加菜子は当時無名女性、後の女優美波絹子と燿弘の嫡男弘明の息子弘弥とのあいだの子どもだった。昭和12年に駆け落ち騒ぎをおこした。燿弘は養育費をはらうなどの条件で二人をわかれさせた。条件を監視する役目で雨宮が絹子のもとに派遣された。ところで今年の7月である。

燿弘が脳溢血で倒れた。柴田財閥は後継者として養子をむかえていたが、燿弘は加菜子にすべての財産をゆずるといいだした。陽子は相続を拒否したが加菜子の意志確認が必要となった。しかし失踪してしまった。そこでさがしてほしいと依頼した。燿弘は9月22日に死亡したといった。資料をわたし辞去した。

9月24日、中野の京極堂である。榎木津が増岡の依頼を話した。関口の回想である。鳥口は御筥様を調査した。関口は稀譚社の編集者小泉からの手紙と新進作家久保のゲラをみた。本日朝、監察医里村をたずねた。鳥口とともに京極堂にやってきた。回想がおわる。

関口が京極堂に話す。武蔵野連続バラバラ殺人事件の犯人は、解体するために殺したという里村の見解をつたえた。鳥口が話す。御筥様の教主は寺田兵衛。父が三鷹で大正に人形の箱製作をはじめた。兵衛は昭和8年に家業をついだ。腕のよい職人だったので、人形だけでなく精密な箱をつくれる。大学、軍隊からの注文もうけた。軍隊に召集され復員した。箱屋を再開した。妻と息子がいたはずだが失踪していた。昭和26年御筥様が誕生した。隣家の風呂屋の話しである。

昭和25年暮れ、寺田家からあずかった箱をみつけ、兵衛に返却した。事情をきいて京極堂は、それは千里眼を鑑定する福来助教授の箱だといった。箱の中に壺があり、そこに魍魎と書いた紙がはいっていた。翌年から信者が出入りするようになった。教義は風通しの悪いところには不浄がわく。心も同じ。不浄な財産は御筥様に喜捨せよというもの。京極堂が膨大な魍魎についての蘊蓄を語る。魍魎はどう論破してよいかわからないという。鳥口が東京通信工業の携帯用テープ式録音機で録音した呪文を紹介した。京極堂は、御筥様には背後に関与してる第三者がいると指摘した。榎木津が加菜子と関係する頼子にあいにゆくので関口の同行をもとめた。やりとりの中で頼子の母君枝が信者であることがわかった。そこに木場が登場した。

7

9月25日、榎木津と関口が小金井の楠本君枝宅をたすねた。中からの応答がなかったので近くの喫茶店にはいった。そこに新進作家久保がいた。不審がる久保にかまわず榎木津が話しかけた。加菜子の写真をみせると、それをくれ、心当たりがあるといった。さきにでた久保について、榎木津は待合せをしてるといった。君枝宅にもどった。

頼子がいた。きくと母は中にいるという。待ち合わせがあるからと立ちさった。君枝があらわれた。中にはいって身の上話しをきいた。不幸な生い立ちから男にであい、この家を手にいれた。家に執着して不幸になった。娘にもわるいから自殺しようと思ったという。関口が信者となった経緯をきいた。信者をやめるようにいったがきかない。榎木津が頼子の命が危険だと指摘した。

小金井の女学校の前で福本巡査が女学生に、天人五衰、屍解仙、羽化登仙という言葉をならったかきいている。ないとわかった。これは木場の依頼だった。木場が陽子宅をたずねた。

陽子が話す。雨宮のこと、弘弥のこと、相続拒否のこと、さらに美馬坂のこと、母のことを話した。木場は増岡弁護士との交渉のことをたずねた。これは自分の事件だと感じた。

おことわり

京極作品を未読の皆さん、どうかここを不用意にのぞいて将来の読書の喜びを損なわないよう、よろしくお願いする。

文庫版 魍魎の匣 (講談社文庫)

文庫版 魍魎の匣 (講談社文庫)

  • 作者: 京極 夏彦
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 1999/09/08
  • メディア: 文庫


(ここから、本文その2がはじまる)


謎解き京極、魍魎の匣 [京極夏彦]

dotaku_yoko2.gif
この連作の趣旨、体裁は「謎解き京極、姑獲鳥の夏」で説明した。

あらすじ

1

昭和27年春、都下小金井の女学校の生徒、楠本頼子はあこがれの柚木加菜子と仲良くなった。頼子の母は人形の頭をつくる職人だった。母は加菜子は不良だといった。二人は相談して夏休みに家出をすることにした。8月15日国鉄武蔵小金井駅から出発した。その深夜、警視庁の刑事木場が頼子から事情をきいてた。加菜子は鉄道事故で病院に搬送された。木場は頼子、福本巡査とともに病院にいった。

木場は小石川の実家をでて、小金井に下宿している。この土地をえらんだのは映画女優、美波絹子の引退後の地だからである。病院で加菜子の病状をきいた。瀕死の重傷だった。そこに弁護士の増岡と雨宮がやってきた。また女性が登場した。柚木陽子、元女優、美波絹子だった。木場が事件の概要を説明した。増岡と陽子、雨宮とのあいだに緊張したやりとりがあった。陽子が意をけっして転院させるといった。

2

8月30日、中野の関口宅である。関口の回想である。29日、30日にバラバラ事件の遺体の一部が発見された。30日午前稀譚社を訪問した。関口の短編集が出版されることがきまった。そこで新進作家久保とあった。久保は自分の寄稿の話しをした。二回の連載、第一回目の締切は9月10日だった。

帰宅すると、カストリ雑誌の編集員、鳥口がいた。守口はバラバラ事件の取材と原稿執筆を依頼した。さらに依頼されて警察が捜査している相模湖に同行した。途中、三鷹をとおったが、そこに穢れ封じ御筥様という新興宗教があるのをしった。相模湖で捜査協力の青木、木下両刑事にあった。帰途、稀譚社編集員敦子とあった。同車して帰路についた。道にまよい巨大なコンクリートの建物にぶつかった。警察の不審尋問があったが、そこにいた木場により解放された。

3

8月31日、頼子が小金井の喫茶店にいた。回想である。15日の深夜の取り調べ、病院訪問、帰宅。17日、母君枝の依頼で男が来訪、穢れ封じをした。18日、玄関釘付け。本日31日、発売されたばかりの本を購入し喫茶店でよんだ。そしてわかったという思いがうかんだ。福本巡査をたずね、加菜子は男に突きおとされたといった。福本が回想した。15日深夜、加菜子が美馬坂近代医学研究所に転院した。その時、福本はトラックにぶつかった。研究所は巨大なコンクリートの建物だった。頼子は福本に強引にたのんで研究所にいった。

木場は美馬坂近代医学研究所で上司の命令を無視して監視してた。木場の回想である。加菜子は財界大物の遺児だった。陽子と増岡の口論はこれに関連してた。管轄の神奈川県警と悶着があった。木場は福本、頼子にあい、二階の応接室に案内した。陽子にあった。8月24日に陽子の手から誘拐予状がおちたことを思いだした。頼子が加菜子にあいたいといった。加菜子は三階の集中治療室の処置室にいる。加菜子は頼子にほほえみかけた。美馬坂所長がはいってきた。助手の須崎が処置室にはいった。まってると悲鳴がきこえた。加菜子が誘拐された。

おことわり

京極作品を未読の皆さん、どうかここを不用意にのぞいて将来の読書の喜びを損なわないよう、よろしくお願いする。

文庫版 魍魎の匣 (講談社文庫)

文庫版 魍魎の匣 (講談社文庫)

  • 作者: 京極 夏彦
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 1999/09/08
  • メディア: 文庫


(ここから、本文がはじまる)


nice!(1)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:

謎解き京極、姑獲鳥の夏その3 [京極夏彦]

ubume_hoso2.gif
この連作の趣旨、体裁は「謎解き京極、姑獲鳥の夏」で説明した。

あらすじ3

5

京極堂は古本屋の主人であり、武蔵晴明社の神主であり、憑き物おとしをやっている。関口は拝殿にいた京極堂に呪いをといてくれとたのんだが、きっぱりとことわられた。なおもたのむ関口に雷鳴がとどろいた。その時、恋文を少女にわたした場面を思いだした。その姿におののいた。京極堂は呪いをとくことを約束した。翌朝である。

関口、京極堂、榎木津、敦子、木場ほかの刑事が久遠寺医院にむかった。夜8時、藤野が失踪した書庫において憑き物おとしをすることとなった。梗子は書庫にあるベッドに横たわっていた。京極堂はそのまえで憑き物おとしをおこなった。凄惨な場面が展開した。関口は失神した。

6,7

翌朝、京極堂によりすべての謎が解明されて、この事件は大団円をむかえた。

おことわり

京極作品を未読の皆さん、どうかここを不用意にのぞいて将来の読書の喜びを損なわないよう、よろしくお願いする。

(ここから、本文その3がはじまる)


謎解き京極、姑獲鳥の夏その2 [京極夏彦]

ubume_hoso2.gif
この連作の趣旨、体裁は「謎解き京極、姑獲鳥の夏」で説明した。

あらすじ2

2

翌日、関口は探偵をたずねる前に、神田の奇譚月報編集長にあった。そこで久遠寺医院の赤子失踪事件をしった。神保町で探偵とともに調査の依頼人とあった。久遠寺医院の女性、涼子という。涼子は妹の夫の失踪について依頼する。夫、旧姓藤野は探偵、関口、京極堂の友人であった。関口はその夜、京極堂をたずねた。そこには奇譚月報の編集員、京極堂の妹である敦子がいた。また京極堂のはなしがはじまった。壮大な宇宙論だった。翌日である。

3

関口は久遠寺医院を探偵の榎木津、敦子とともにおとづれた。そこで医院長夫妻、助手の内藤とあった。さらに藤野の妻、梗子とあった。他人の記憶がみえるという特殊能力をもつ榎木津は事件の真相をしったようだが説明の要領をえない。怒った関口が梗子に直接きいた。翌日の京極堂である。

4

関口と京極堂が藤野の日記をしらべている。関口が久遠寺病院の女性に恋した藤野のために恋文をとどけたことを思い出した。そこに友人の刑事、木場がやってきた。自分が担当した久遠寺医院赤子失踪事件の話をした。そこには奇怪なスキャンダルがふくまれていた。また久遠寺家が憑き物筋との噂が紹介された。藤野失踪の動機が分析された。久遠寺家の闇がふれられた。怒りにたえない関口をなだめるように木場が調査を申し出た。

二人は久遠寺医院に奉公していた夫婦を板橋にたずねた。つづいて失踪事件で赤子をなくした夫をたずねた。医院から口止め料がわたされていたことをしった。事件をはなしてくれた夫に再捜査を約束した。関口は木場に再捜査を一日まってくれと頼んで、久遠寺医院に急いだ。カストリ雑誌で事件をしった周囲の住民が騒いでいた。すがりつく涼子に久遠寺家の呪いをとくことを約束して、関口は眩暈坂をかけのぼった。

おことわり

京極作品を未読の皆さん、どうかここを不用意にのぞいて将来の読書の喜びを損なわないよう、よろしくお願いする。

文庫版 姑獲鳥の夏 (講談社文庫)

文庫版 姑獲鳥の夏 (講談社文庫)

  • 作者: 京極 夏彦
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 1998/09/14
  • メディア: 文庫


(ここから、本文その2がはじまる)


nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:

謎解き京極、姑獲鳥の夏 [京極夏彦]

ubume_hoso2.gif

はじめに

膨大複雑怪奇な謎を誇る京極作品の解決への筋道を明きらかにする。筋をできるだけ忠実に追い、そのつながりを浮かび上がらせる。こうして最後に達する解決の喜びをあますところなく味わう。京極作品の魅力を明きらかにしたい。

京極作品の本篇では最後の解決に向け伏線としての謎がつぎつぎと現われ、複雑にからみあう。その筋道を明きらかにしようと思う。不可思議な事件や現象が発生する。その理解のため体系的な説明が本篇に提供される。この論理もできるだけ明きらかにしたい。世の中に批評家といわれる専門家がおられる。京極作品の一愛読者である私はこれらの方々のような体系的、専門的な論評はできない。作品を読んでその喜びを他の愛読者の皆さんと共有したいという気持である。

あらすじ

1

二十カ月ものあいだ子どもを身籠っていることができるかと京極堂にきいた。売れない作家関口巽は都下中野の眩暈坂をのぼって古本屋京極堂について、主人にきいたことである。やがて意図を察した京極堂は宗教から心と脳の不思議な関係をはなしはじめた。そしてつまらぬ記事を書くのはやめろととめた。ところが関口の話から、共通の友人が事件にかかわってることをしった京極堂は神保町の探偵のところにゆけとすすめた。こうして関口も京極堂も雑司が谷の久遠寺医院におきた事件に巻きこまれてゆく。

おことわり

この種の作品を取り上げるときは、不用意に重要な筋や犯人が暴露されないよう表現に注意する。ここでも当然配慮しているが、しかし、これはあくまでも京極作品を読んだ方を対象に作成したものであって、未読の方を対象にしたものではない。京極作品を未読の皆さん、どうかここを不用意にのぞいて将来の読書の喜びを損われないようよろしくお願いする。

文庫版 姑獲鳥の夏 (講談社文庫)

文庫版 姑獲鳥の夏 (講談社文庫)

  • 作者: 京極 夏彦
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 1998/09/14
  • メディア: 文庫


(ここから、本文がはじまる)


nice!(1)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:
- | 次の10件

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。